幽玄の國に誘われ
「……へ……? 嫌ですけど……?」
何故 見ず知らずの人達に、付いていかなくてはいけないのかというような顔でお断りした。
というかわたしが指図されて大人しくついて行くと思うなよ!!
小さい頃 知らない人にはついて行くなって習わなかったのか!!
私は頭の中で悪態をついている間 男達は時が止まったかのように固まっていた。
ただ 1人 獅騎と呼ばれた人は肩を震わせていた。
「 ふ、っはははははは!! だ、そうだがどうするのだ?」
「な、何を言う!貴様 この国の尊き女神の命に背くというのか!!」
獅騎さんは愉快だというように笑っている。
男達は顔を真っ赤にして怒鳴っている
「命とか そんな事言われても知らないし 第一 美夜姫様だっけ? 誰よ その人」
きっと偉い人なんだろうな〜女神って呼ばれてるく
らいだし……綺麗な人なんだろうな……とは、思うけ
ど私だって黙ってついて行く義理なんて無いし。面倒事は絶対に嫌!
ほんと こういう時でも落ち着いて話せてるのだから肝が据わっているというか……すごいね 私 あ、枝毛はっけーん
私が髪を弄り始めると男の人がプルプルと震えながら叫んだ
「美夜姫様を知らぬだと!? まさか 貴様 異国の者か!!」
確かに私はその部類に入るのかもしれない。下手な返しは出来ないので そこは答えずにいた。
だが、逆にそれが肯定だと思った男達は
「こんな得体の知れぬ者など 美夜姫様の元へ連れていかずとも朱ノ宮(アケノミヤ)に連れていくべきではないか!!」
「そうだ!!」
おっとぉ?なんだか 話が悪い方向へ進み始めたぞ…少し焦りを感じ始めた私は助けを求めるように獅騎さんを見た。
獅騎さんは私の視線に気づくと安心させるように微笑んだ。
トクンッ
(ん?……)
なんだ?とくんって まぁいいや
ほんと、イケメンは微笑むだけでも周りに花が咲いたようになるよね 羨ましい…
私が そんな事を考えてることうちに獅騎さんは男達に近づいて話しかけた
「お前達 先程から『美夜姫様』と言っているが それから察するに今回お前達をここへ遣わしたのは美夜姫殿 自身の命で相違ないな?」
男達は「そうだ!」 というと、獅騎さんほ考えるように顎に手を当てた。
「ならば行っても良いのではないか?」
「え……?」
急な言葉に私は間の抜けた声を出してしまった。