君のいない世界なんて
もしも私の死で世界を救えるのなら、喜んで犠牲になろう。
もしも私の死が人々を幸せにするなら、喜んでここから飛び降りよう。
もしも私の生が人々を不幸にするのなら、迷うことなくこの世界から消えよう。
……まぁ、現実の私にそんな価値はない。私が生きてようが死んでようが、何億人の人は知らないことだ。
フェンスを握る手が震えている。
私は気付いていた。
犠牲になろうだなんてただの言い訳。
自ら屋上から飛び立てない臆病な自分は、ただ、誰かに背中を押してほしいだけ。