君のいない世界なんて
4階建てアパートの4階にある我が家。
ベランダから地面を見下ろした。
「……私の命と引き換えに、結城を助けてくれないかなぁ。それなら迷わず死ぬのにさ」
真下は駐車場。今は車が停まっていないから、アスファルトにそのままぶつかれる。
自嘲的に笑う。
私ごときの命で他人を救えるわけがない。
こんな私がいなくなったところで、世界は変わらない。
良くも悪くも、私自身にそんな影響力があるわけない。