過保護な彼に愛されすぎてます。
「そうだね」
「そのなかの誰かと恋に堕ちちゃったりしないのかなぁ」
「今のところ、そういう話はないみたいだけど……でも、本当に誰かいいひとを見つけられたらいいのにね。いつまでも私に構ってるんじゃダメなのに」
〝奈央ちゃんがいい〟なんて言っているうちは、過去の傷が癒えない証拠だ。
幸いにも、郁巳くんはキラキラした世界にいるんだし、見た目も心も綺麗なひとを早く見つけられたらいいのに。
そう思いながら呟くと、真美ちゃんが「でもさ」とニヤニヤしながら言う。
「そんなことになっちゃったら、奈央、寂しくなっちゃうね」
それは……どうなんだろう。
すぐには答えがでなくて、返す言葉が見つからない。
でも、郁巳くんだって私だって、恋人を見つけたほうがいいに決まってる。
今の、幼なじみとも呼べないような歪な関係は、お互いにとってよくないハズだ。
「寂しくならないように、私も誰か探さないとかもね」
いざとなったとき、郁巳くんの周りにはたくさんの女の子がいるだろうけれど、私は違う。
しかも、恋愛にあまり興味がなくて今まで何も経験なくきちゃってるし、郁巳くんの心配ばかりしている場合じゃないのかもしれない。
……だからといって、焦る気にもならないけれど。それは性格だから仕方ない。
「お、やっとそんな気になったんだ! 奈央と恋愛話とかできたら楽しそうだし、誰かいい人紹介してあげよっか?」
高校の頃から、〝彼氏を作れ〟ってうるさかった真美ちゃんが乗り気で言うから、「そのうちね」と苦笑いで誤魔化すと、口を尖らされる。
「奈央はそうやってすぐ誤魔化すー。〝そのうちね〟って言われ続けてもう六年目なんですけど……あ、そうだ」