過保護な彼に愛されすぎてます。


ぶーぶー文句を言っていた真美ちゃんが、途中でなにかを思い出したように鞄のなかをゴソゴソといじりだす。

そして「これね、お土産」と言い、透明なビニール袋で包まれたシュシュを取り出した。

光沢のある赤色のシュシュで、周りを黒いレースが囲っている。
光沢のある生地のせいか、黒いレースのせいか、大人っぽいデザインに思えた。

「お土産って……え、どこの?」

特別な染物にも見えなくて聞くと、真美ちゃんが「そこの雑貨屋さん」と答える。

「レジ近くにあって、たまたま目に留まったの。奈央、こういう派手目の色、普段つけないでしょ?」
「うん……。結んだりも、あまりしないけど」
「だから、たまにはいいんじゃないかなって。ほら、後ろ向いて。まとめてあげる」

私の後ろまで回り込んだ真美ちゃんが髪を触るから、「あ、だったら櫛……」と言ったら、いらないと言われた。

今は、あまりビシッと縛るってことはしなくて、少し雑な感じでまとめるのが流行りらしい。

「手櫛でさっととかしてまとめるくらいが丁度いいの」と言われて、そういうものなのかと感心した。

郁巳くんが載っている雑誌を見かけるたび、とりあえず一通り読んでいるっていうのに、まったく身についていなくて自分でも呆れてしまう。

恋愛するしないは置いておいて、もう少しオシャレに気をつかってもいいのかもしれない。

「はい、できたよー」

真美ちゃんがしてくれた髪を手鏡で見ると、ポニーテールになっていた。

トップから後ろに流れている髪は、たしかにびしっとしていなくて、でもこういうラフさがいいのかな、と眺めながら思う。
そういえば、職場の女性社員も、こういう感じだったかもしれない。



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