過保護な彼に愛されすぎてます。


『えー、本日は最近人気急上昇中のモデル、不破郁巳さんにお越しいただきましたー。
不破さんはメンズファッション誌を中心に活動されていて、女性にはもちろん、男性にも人気が高く不破さんが雑誌で着た服は売り切れ続出という現象が――』

郁巳くんの紹介のなかに混ざっていた〝男性にも人気〟という言葉に苦笑いを浮かべずにはいられない。

つい先週も、熱狂的な男性ファンに追い回されたところだ。

あのとき、私は相手が男性だってことに驚いたけれど、郁巳くんはそんな様子は見せなかった。
ってことは、男性に付け回されるってことが、初めてではなかったのかもしれない。

同性でも憧れから入った気持ちがだんだんとそういう方向に向かってしまったりするケースもあるのかな。
郁巳くんは本当にきれいな顔立ちをしてるから……と考えていると、司会のひとりが質問をする。

『人気の高い不破さんですが……ここだけの話、恋人の存在……とかはどうなんでしょう』
『えー……じゃあ、ここだけの話ですよ? ……って、まず全国放送だって知ってますし騙されませんから。そこまで馬鹿じゃないですよ』
『いえ、そんなつもりじゃなかったんですが……失礼しました』

なごやかな雰囲気で交わされる会話。
『で、そのへんどうなんですか?』と聞く司会に、郁巳くんは『食い下がりますねー』と笑いながら答える。

『っていうか、こういうプライベートな質問って事務所がNG出したりするもんじゃないんですか?』
『あ、いえ。不破さんに対しては、とくにそういった制限はないですが……』
『うわー、俺、全然守られてねぇっ』

ソファの背もたれに頭を沈め天井を仰いだ郁巳くんに、観客席から笑いが起こる。

司会のふたりもクスクスとしながら『じゃあ、好きなタイプだけでも』と聞くと、体勢を直した郁巳くんは『んー』と悩んだ顔をしてから『ノーコメントで』とにっこりと微笑んだ。

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