過保護な彼に愛されすぎてます。
three
その日、家についてからスマホを見ると、メッセージアプリが未読を教えていた。
開くと、郁巳くんからのメッセージが並んでいる。
『ごめん。今日、収録終わりに先輩から誘われちゃって遅くなるかも』
『奈央ちゃん、俺がいなくてもちゃんと夕飯食べてね』
それが入っているのが、十六時二十分。
私がお昼休みに見ていた番組終わりに誘われたってことなんだろう。
そう判断してスクロールすると、次々にメッセージが表示される。
『奈央ちゃん、もう仕事終わった?』
『今から移動。マンションから七駅くらい離れた場所にある、個室のある居酒屋だって』
『おいしかったら、今度一緒にこようね』
『まだ仕事?』
『奈央ちゃん、これ見たらちゃんと返事して』
最後のメッセージは、数分前に送られたものだった。
正直、お昼休みから胃のあたりがキリキリしているし、そうじゃなくてもメッセージを返すのは面倒くさい。
私が読んだってことは、郁巳くんにも伝わるから、わざわざ返す必要もないんだけど……。
郁巳くんがこう言っている以上、返さないとあとでもっと面倒くさいことになるかもしれない。
郁巳くんは、そこらへんの面倒くさい女よりも面倒くさいから。
ため息を落としながら、郁巳くんにメッセージを作って送る。
『今、帰ってきたとこ。ちゃんと食べるから心配しないで飲み会に集中して』
『スマホの充電が終わりそうだから。また明日ね』
〝飲み会に集中して〟っていったって、郁巳くんはどうせこまめにメッセージを送ってきたりするのが目に見えてる。
それにいちいち反応を返さなくても過度な心配させないようにと、簡潔に会話を終わらせた。
返事が届かなくても、これを見れば、充電がおわったんだなって思うだろうし。家に帰ったってことを知れば、郁巳くんだって必要以上に気にはかけないだろうし。
「あつ……」
部屋のなかにこもった、むっとした空気が気持ち悪くてエアコンをつける。