過保護な彼に愛されすぎてます。
「大丈夫だよ。誰かに入り込まれたなんてことはないし、俺がいる限り、奈央ちゃんを守ってあげるから。怖がらなくていい。
エアコンの温度だって俺が調整してあげるし、鍵だって確認してあげる。奈央ちゃんのこと全部、俺がしてあげるから」
〝守ってあげる〟
私も今日、同じことを考えたけれど……言葉に含まれる重みの違いを感じずにはいられなかった。
郁巳くんからかけられる、優しい言葉。声。綺麗すぎる微笑み。
その全部が、まるで鉛のように重たく私の上にのしかかる。
この部屋だけ、重力が何倍にもなってしまったみたいだった。
吉原さんが言っていた〝鎖〟が、不意にジャラッと音を立てた気がして、ゾクリとした。
向けられる、強すぎる眼差しに郁巳くんの想いを思い知る。
これは……依存? それとも――。
「ねぇ、郁巳くん……」
横になったままの状態でいるのが怖くなって、慌てて上半身を起こすと、郁巳くんの手が頬から離れる。
そこにホッとして息をついたのも束の間。
ゆっくりと伸びてきた腕につかまり、そのまま抱き締められた。
郁巳くんは、スキンシップが多い。
抱きつかれるのなんて、しょっちゅうだ。
だから、こんなのは驚くほどのことでもないけれど……怖いって感情がある今、いつもみたいに流すことはできなかった。
「郁巳くん、ちょっと……」
「今日の飲み会、本当最悪だった。
打ち上げだって言うし、それも仕事の一環だと思って出席したけど、あんなの体のいい合コンだし。
見た目しか取りえのないようなヤツ何人も紹介されて、すげーうっとうしかった」
「郁巳く……」
「〝人気急上昇中〟っていうタグのついてる俺と付き合えば、話題性で売れるーみたいな魂胆が顔に出てんの。そんなん綺麗でもなんでもねーし。
奈央ちゃんの足元にも及ばないヤツばっか」
私を抱き締めたまま話す郁巳くんに困ってしまう。