過保護な彼に愛されすぎてます。
「ごめん……っ、隣にいた人の香水の匂いがきついなーとは思ってたんだけど、服に移ってるとは思わなくて……」
「隣にいた人って……真野さん?
今日、お昼過ぎに一緒にテレビでてたよね。打ち上げって、その打ち上げだったんでしょ?」
郁巳くんは、まさか私が見ていたとは思わなかったのか、驚いた顔をしたあと歯切れ悪くうなづいた。
「まぁ……真野さん含めたメンバー十人くらい」
わずかにバツが悪そうに言う郁巳くんが、続ける。
「ごめん。やたらとくっついてきてたから、たぶん、そん時に移ったんだと思う。
奈央ちゃん、香水とか好きじゃないのに気持ち悪い思いさせちゃって本当にごめ――」
「別に、私に謝る必要も言い訳する必要もないでしょ。
だって、そもそもそういう関係じゃないし」
淡々と言うと、郁巳くんは目を丸くする。
ショックを受けたような顔から目を逸らし「だから」と続けた。
「こんな時間に部屋に入ってこないで。あと……いろいろ考えたことがあるから、しばらく放っておいて。
会いたくない」
ぐいっと郁巳くんの背中を押し出すようにしてベッドから降りる。
そしてそのまま玄関まで行き、郁巳くんを追い出した。