過保護な彼に愛されすぎてます。


「いや、俺はおかしいとだいぶ前から思ってるけど」

その答えに、自分の考えがあっていたという安心と、やっぱり郁巳くんはおかしいのかというショックが入り混じる。

「やっぱり……そうですよね」と呟くと、吉原さんが「どう考えてもそうだろ」と呆れたように言った。

八十人ほどが座れる広さと席数を持つ自慢の食堂はガランとしている。
もう十四時が近づいている食堂に、社員はまばらにしか座っていなかった。

いつも同じ局の番組を映しているテレビがひとりで騒がしい。

私の前にはA定食のキノコのクリームパスタが、そして吉原さんの前にはB定食の親子丼が並んでいた。

「あいつの束縛具合はおかしい。坂井に対するそれは、幼なじみにするもんじゃないだろ。
つーか、恋人相手でも人によっちゃ許されない範囲まで達してる」
「え、そこまで……?」

驚いて声を漏らすと、やれやれと言った具合にため息をつかれた。

「不破って明るいし、サッカーだって仲間に囲まれて楽しそうにやってたから、一見、そんな風には見えないけどな。
だから、坂井が相手のときだけあいつが覗かせる執着みたいなもんを垣間見たとき、結構驚いたし、正直ひいた」

新入社員とは思えないほどドシリと構えていて頼りがいのある吉原さんを前に、驚かせるようなことを、郁巳くんがしたんだろうか。

そう思い見ていると、B定食の親子丼を食べながら吉原さんが言う。
箸の先で半熟卵がプルプルと震えている。


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