過保護な彼に愛されすぎてます。
「郁巳くん、あれから部屋にこないんです。いつもなら、どんなにうっとうしがっても毎日きてたのに……。
あまりにうっとうしいから、郁巳くんの靴を五階から放り投げた翌日も、普通にきてたし」
「……それは、相当うっとうしかったんだな」
神妙な顔で言う吉原さんにボソボソと言う。
「なのに、あれから三日経つのに、一度も顔見せなくて」
「坂井から会いに行けばいいじゃないか。謝りたいんだろ?」
キョトンとした顔で当然のことを言われて、少し黙ってから目を伏せる。
謝りたいなら私から訪ねるべきだ。それは私だって思う。
でも……この三日間、それをできなかったのは――。
「怖いんです」
「……不破が?」
「郁巳くんも……自分自身も」
鍵をかけたハズの部屋に、当たり前のようにいたり、異常なほどの独占欲を見せたり。
そういうことを、郁巳くんは意図的に私に見せている気もしている。
私がどこまで受け入れるかを、試されている気もして……それが、怖い。
それに……。
「たぶん、郁巳くんは色々と常軌を逸してるのに……それでも、守りたいなんて思う、自分も……他に人に渡したくないなんて思っちゃうことも怖いです」
こんな想いが、恋なんだろうか。
やきもちだって認識すると同時に、そんな疑問を持った。
だって、郁巳くんの行動はほぼアウトなのにって、それを当たり前みたいに受け入れなきゃって思う自分が怖い。
それでも、独り占めしたいと望む、あさましさも怖い。
「郁巳くんがちゃんと普通の人だったら、私だってすんなり認めてすんなり謝れて、すんなり告白だってできちゃうんですけど。
実際は……残念ながらあんなですし」