過保護な彼に愛されすぎてます。


「あ……」

思わず声を漏らした私を、郁巳くんがじっと見る。
そして「おかえり、奈央ちゃん」と微笑みかけられたと思った次の瞬間。

「ひゃ……っ」

腕を掴まれ、強引に部屋の中へと引きずり込まれる。
そしてそのままベッドまで連れていかれ、トンと背中を押された。

転ぶようにベッドにうつ伏せに沈むと、すぐに顔の横に郁巳くんが手をつく。

ギシッと軋んだ音に驚いて顔だけで振り向けば、片膝をベッドに乗せた郁巳くんが私を見下ろしていた。

暗闇のなか、光る瞳にギクリとする。

閉じこめるようにして、両手が顔の横にそれぞれつかれている。

あまりに無理やりに連れ込むから、靴も履いたままなのに……それを訴えられるような雰囲気ではなくて緊張が空気を重たくする。

きっと、郁巳くんを見上げる瞳は怯えている。
そんな目を見て、郁巳くんはおだやかに……でも、無感情に笑みを浮かべた。

「ダメだよ。奈央ちゃん。あんまり俺を待たせないでって言ったのに。三日間も待たされて、気が狂いそうだった」

たったの三日とは言わない。
私だって、三日も郁巳くんが顔を見せないって思ってたから。

でも……だからって、こんな……。

「考えたいことがあるから、しばらく会いたくないって、言ったのに……」
「うん。だからちゃんと時間あげたよね。奈央ちゃんが俺のことを考える時間。でも奈央ちゃんがあまりに俺を待たせるから悪いんだよ」

まるで正論のように言う郁巳くんに、一瞬言葉を呑む。
強い眼差しを見ていると、惑わされ、本当に私が悪いように思えてきてしまうから怖かった。


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