過保護な彼に愛されすぎてます。
「郁巳くんだって、私しかいらないって、そう言ったくせに……っ」
思わずだった。
こんなこと言うつもりもなかった。やきもちだってわかってたから。
なのに、郁巳くんがそんな冷たい目で私を追い詰めるから、感情が込み上げてきちゃって、つい……。
だから、自分で言った言葉に自分でも驚いてしまっていると……見上げる先で、郁巳くんが表情を変えた。
苦しそうにしかめられた目元。まっすぐな瞳。
今までみたいに、無感情じゃなくて……溢れるくらいの想いが、滲んでいるみたいだった。
涙の浮かびそうな瞳に見つめられ、胸が跳ねる。
「……うん。いらないよ。奈央ちゃん以外なんか、心底どうでもいい」
懇願するような、胸を打つ声だった。
大きな波にでも呑み込まれたみたいに、向けられた深すぎる想いに溺れ……そこで初めて、自分が口走った言葉の大きさを知った。
私にとっては、なんでもないやきもちだった。
でも……たぶん、郁巳くんにとっては違う――。
「だから、俺を好きになって、奈央ちゃん……。奈央ちゃんの全部、俺にちょうだい」
焦がれるような瞳に見据えられ、そのまま唇を奪われる。
髪に差し込まれた手が優しく頭を撫で、咥内に入り込んだ舌が私のそれと重なる。
わずかな水音が立ち、一気に恥ずかしさが襲ったけれど……もう、抵抗しようとは思わなかった。
――ゲームセットだ。
『私しかいらないって、そう言ったくせに……』
私がそう言葉にして、望んだ時点で。
私だけを見て欲しいって、思った時点で……。
郁巳くんが、どれだけの思いで私の言葉を待っていてくれたのかを、その泣き出しそうな表情の中に見つけ……そっと目を閉じた。
「ん……っ、郁巳、く……っ」
「奈央ちゃん……もう待てない」
キスの合間、はぁ、ともらした吐息まで奪われる。
頭や頬、首に肩。欲しいと言わんばかりに撫でまわる手はそのままに、舌を絡め取られ、深く唇を合わせられる。
郁巳くんが押し込んでくる膨れあがった想いが、苦しい。