全てが終わりを告げる時
そう言いながら、水道へと向かう倉渕羽津摩
「!! ……ごめんなさい。
私のせいで時間を取らせてしまって……」
突き指の応急処置は、1分以内に行うべきだと、昔、お父様に教えられた
「雛桜が気に病むことはない。
元々は俺の不注意が原因だからな」
こちらへ戻ってくると、棚に置かれていたテーピングテープを、器用に自分の指に巻き始める
それを静かに見つめていれば、慣れているのか、ものの数十秒で綺麗に巻き終えた
「……隣、いいか?」
道具を片付けた後にそう言われ、こくりと頷く
私の隣の椅子へ腰を下ろした彼は、すぐさま深く、頭を下げた
「……昨日は、すまなかった」
固まる私に、彼は続ける
「実はあの後、外へ出た途端に、王寺に怒られたんだ。
『君は本当に、人をまとめる立場の人間なのかい?
たった一人の心すら、読み取れないっていうのに?』とな。 それも笑顔で」
あれは怖かったと、頭を下げた状態で倉渕羽津摩は話す
「それから暫く、俺は彼に、あの組織と現状について聞かされた。
俺は公にされた情報しか知らなかったから、心底驚いた。
〝力〟を持つ者ならば、人を選んでいる余裕は無いということを聞いて、雛桜に怒鳴った自分を酷く恥じた」
「本当にすまなかった」と謝る彼に、顔を上げてと私は言う
「!! ……ごめんなさい。
私のせいで時間を取らせてしまって……」
突き指の応急処置は、1分以内に行うべきだと、昔、お父様に教えられた
「雛桜が気に病むことはない。
元々は俺の不注意が原因だからな」
こちらへ戻ってくると、棚に置かれていたテーピングテープを、器用に自分の指に巻き始める
それを静かに見つめていれば、慣れているのか、ものの数十秒で綺麗に巻き終えた
「……隣、いいか?」
道具を片付けた後にそう言われ、こくりと頷く
私の隣の椅子へ腰を下ろした彼は、すぐさま深く、頭を下げた
「……昨日は、すまなかった」
固まる私に、彼は続ける
「実はあの後、外へ出た途端に、王寺に怒られたんだ。
『君は本当に、人をまとめる立場の人間なのかい?
たった一人の心すら、読み取れないっていうのに?』とな。 それも笑顔で」
あれは怖かったと、頭を下げた状態で倉渕羽津摩は話す
「それから暫く、俺は彼に、あの組織と現状について聞かされた。
俺は公にされた情報しか知らなかったから、心底驚いた。
〝力〟を持つ者ならば、人を選んでいる余裕は無いということを聞いて、雛桜に怒鳴った自分を酷く恥じた」
「本当にすまなかった」と謝る彼に、顔を上げてと私は言う