全てが終わりを告げる時
「そんなに怒らないでよー。

そんなんだと、血圧上がって、せんせーすぐにお陀仏しちゃうよ?」


「むっ……う、うるさぃ」


男子生徒の言葉を気にしてか、先程よりも控えめに、担任教師は叱責した



「……いいか、お前たち。

二回目なんてごめんだから、先に言っておく。

絶対に、騒ぐんじゃないぞ」


「え……それってもしかして……」


誰かが小さく呟く


担任教師は、その声に頷くと



「転校生だ。 入ってこい」


前扉に向かって、そう呼びかけた



ガラッと扉が引かれ、この学校の制服に身を包んだ、一人の少女が入ってくる


その顔を見た瞬間、私は驚愕し、目を見張った



教壇に立ち、転校生が身体をこちらへ向ける


その髪と瞳の色も、顔立ちも、どことなく綾瀬実栗に似ていたのだ



「自己紹介してくれ」


センター分けの前髪に、おさげ髪の転校生が口を開く



「中国から来ました。 箏美玲(ソウ メイリン)です。

母が日本人なので、日本語は問題ありません。

よろしくお願いします」



無表情で淡々と話すその姿は、転校初日の綾瀬実栗と似ていた



違うところといえば、綾瀬実栗の無表情には何の感情も読み取れなかったのに対し、

転校生───箏美玲の無表情は、感情を押し殺しているようだと思ったところだ
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