全てが終わりを告げる時
教室へ戻れば、殆どの生徒が席に着き、授業の準備を始めていた


しかしそこに、未來の姿は無い



どうしたのだろうかと疑問に思いながら、自分の席へ着く


すると、バタバタと廊下を走る音が聞こえ、その足音がかなり近付いてきたという時に、教室の後扉を開けて、未來が姿を現した



「未來、ギリギリじゃん。

何してたのー?」


未來の近くの女子生徒が、ケラケラと笑いながら聞く


「ちょっと散歩してて……

危ない危ない。 もう少しで遅れるとこだったよ」


少し息を切らしながら未來が答え、ヨロヨロとした足取りで席へ着いた


そして、ブレザーのポケットにしまっていたらしい手鏡を取り出すと、素早く前髪を整え、リボンをきゅっと締め直した



ああ……また散歩に行っていたのか



未來は時々、昼休みに散歩をしている


以前、その理由を聞けば


『食後の腹ごなしってやつだよ。

ただ歩くだけだけど楽しいよ!

今度輝祈もやってみなよ!』


と言われた


無論、意味のない行為を嫌う私は遠慮したが……



私と違って、将来のために勉強しているのだから、遅刻はしないようにと願う



その後、すぐにチャイムが鳴り、授業が開始された




───終末時計の針は


少しずつ、少しずつ……


終わりへの時を進めていた
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