全てが終わりを告げる時
様子を窺うために、足音を忍ばせ、ゆっくりと進む



───不意に、その少女が、右手を持ち上げた


それを見た私は、ぴたりと動きを止め、目を見張る



それは、自身の目を疑いたくなるような光景だった


少女の右手には───人間の、頭蓋骨らしき物体が乗せられていたのだ



刹那、乗っていたそれは、一瞬にして砂へと姿を変える


少女はそれを、微笑を浮かべながら見つめると、

指を開き、地面へと落とした


指の隙間から零れ落ちるそれは、地面のそれと溶け込んでいく



「……今、何を乗せていたの……?」


「何って……見たまんまのものだよ」


静かに問う私に、少女は驚きもせず、背を向けたまま答える


いつも周りを明るくする彼女の声は、その時ばかりは不気味だと感じた



「……嘘、でしょう……?」


声が、震えている


目の前に立つ彼女に、驚きを隠せない



「嘘だと言ってよ……


ねえ───未來」



未來がこちらを振り返る


その頬には、不気味な返り血が付着していた



「お願いだから……

嘘だとっ、いえ、夢だと言って! ねえ!!」


「これは嘘なんかでも、夢なんかでもないよ。

全部真実で、 全部現実」



頭を鈍器で、強く殴られたようだった



「ここに敷き詰められているものは……何……?」


「さっきの、見てたんでしょ?

ここにあるのは全部、自主退学した人たちの骨だよ」


倒れそうになる身体を、両足を踏ん張ってなんとか持ち堪えた
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