全てが終わりを告げる時
…………


これが夢だとしたら、どんなに良かっただろう


もし、夢だとしたら……



「今、私たちの下にあるのは、沢山の人の身体だった物なんだよ。

それがこんなにも集まって……


人の死の上に、人は成り立つ。

この世界は、〝死〟あってこそ。


私たちは今、それを体感してるんだよ。

なんか、感動しちゃうなぁ。


輝祈は、そう思わない?」



「…………違う……」


「何が違うって言うの?

私が言ってることは全て、事実じゃな……」



「違う! お前は未來じゃない!!」



もし、夢だとしたら……


こんなにも深い悲しみを、味わわずに済んだというのに


未來のなりすましに、怒鳴らなくて済んだというのに───



「……何言ってるの? 輝祈。

さっき自分で、私のことを未來って呼んだじゃ……」


「未來は!!

……未來はっ、私が今まで出会った誰よりも、人の不幸を悲しむの。

死という言葉を恐れるの。

だからっ……お前は、未來じゃない」



私の言葉に、彼女は肩眉を上げ、不愉快そうな表情をする


「私の何を知ってるっていうの?

今までのなんて、全部演技に決まってるじゃん」



───最初はただ、仕事のための、上辺だけの友人関係でしかないと思っていた


思っていた、はずなのに……



いつからだろう


こんなにも人間を───未來を大切だと思っていたのは……
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