全てが終わりを告げる時
しかし彼女は、焦り一つ見せずに、それを軽く交わす



地面に着地した人影が、むくりと身を起こし、立ち上がった



……その正体は、転校してきたばかりの、箏美玲だった




「……やっと、見つけた……」


箏美玲が、小さく呟いた


「何の用ですか」


無機質な声で、綾瀬実栗が問う



「用、だと?

そんなの一つに決まっている」


憎々しげに綾瀬実栗を睨み付けると、箏美玲は叫んだ


「父の敵をっ、果たすためだ!!」



彼女の父親は、エニスと何か関わりがあったのだろうか


そう思っていれば、箏美玲は静かに語り出した


綾瀬実栗も、口を開くことなく耳を傾けていた



「私の家は代々、八極拳を受け継いできた名高い名門だ。

父は中でも最も強く、国からの依頼で、日本のとある研究所の警備の仕事も行っていた」



その言葉に、私の中で、彼女に関しての全てが繋がった


綾瀬実栗を追うようにして現れた、もう一人の転校生


人と戯れることを避けたのは……



「まさか、あなたの父親は……」


「そうだ!!

私の父さんは、貴様が殺した警備員だったんだ!

許さない……許さない!!」



……純粋に、己に課した任務を遂行するため



再び飛びかかる箏美玲を、またしても交わした綾瀬実栗は


「理由が何であろうと構いませんが、私の計画の邪魔をしないで下さい」


そう言って、箏美玲に手を翳し、一瞬にしてその姿を、白い砂へと変えた
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