全てが終わりを告げる時
「っ!? 何をっ……!」


「邪魔する者を、排除したまでです」


淡々とした口調で、綾瀬実栗は告げる



その平然とする姿に、我を忘れた私は、

箏美玲同様、彼女へと飛びかかった



綾瀬実栗が再び手を翳す


私はそれを避けると、彼女の背後へと回り込んだ



「素晴らしい!

ここまで素早い動きの人間が存在するとは、思ってもいませんでした」


嬉しそうに話す彼女の背に、攻撃を仕掛けようとすれば、彼女は瞬時にそれを交わす


「無駄です」


私から一瞬にして間合いを取ると、私たちは対峙する形で、地面へ着地した



このまま攻撃を何度繰り返しても、きっと今までと同じように、彼女は一瞬にしてそれを避けてしまう


人間ではない彼女と、真っ向勝負はできないというのだろうか



小さく芽生えつつある焦りに、唇をぐっと噛み締めた


「───輝祈っ!!」


……遠くから、私を呼ぶ声がした


振り返れば、こちらに駆け寄ってくる三人の仲間が



「加勢するぞ」


側までやってきた彼らの中で、最も長身な男───羽津摩が言った



「人間が何人集まろうと、私には敵いませんよ」


綾瀬実栗は、侮蔑するわけでも、同情するわけでもなく、ただただ無機質に言う


そんな彼女に、慎也は焦る様子もなく、微笑を浮かべて見せた


「もしも予想外の〝力〟が働いたとしたら……どうなるか分からないだろう?」
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