全てが終わりを告げる時
だが、水が地面へ落ちた後の彼女は、全くその影響を受けていなかった



「お忘れですか。

いくら私がロボットで、片腕の接続部分が剥き出しになっていても、私は最新技術を総動員して作られました。

水でショートするなど、愚かな考えです」


声自体は無機質だが、その言葉に慎也は僅かに悔しげな表情を見せた



「水が使えないとなると、他の力も効果がないだろうね。

物理的な衝撃を与えて、核の周りを破壊するしかなさそうだ」


独り言のように呟いた彼は、再び印を組み、何かの術を唱え始めた


だが……



「遅いですよ」


綾瀬実栗がそう呟き、彼女の手から光が放たれた


次の瞬間には


「うあぁっ!……」



…………


柚希の姿が、消えていた


跡形も無く、まるで、初めからそこに存在しなかったかのように


「柚希っ!?───お前っ!!」


状況を理解した慎也は、今までに見たこともない表情を見せ、その口調も、今までとかけ離れた荒々しいものへと変化した



「柚希を元に戻せ!!」


誰よりも長く時を過ごした柚希を失い、半狂乱になった慎也は、そのままエニスへ走り寄ろうとした



それを阻止したのは───羽津摩だった


すぐさま慎也の元へ瞬間移動すると、彼のその怒りで赤くなっている頬を殴った


倒れ込む慎也を見下ろし、羽津摩は怒鳴る



「落ち着け!!

何の考えもなしに飛び込んでいったって無駄なだけだ。

それに、そのことを一番よく分かっているのはお前だろう!」


「で、でも……柚希が……」

「───柚希がいない今、戦えるのは俺たちだけなんだよ!

だから、柚希の分も戦え!」
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