全てが終わりを告げる時
羽津摩の言葉を聞き、少しの間俯いた慎也は、溢れ出しそうになっていた涙をぐっと拭うと、エニスを見据え、立ち上がった


「……ごめん、この戦いの途中放棄なんて許されないよね」


「ああ。 俺は囮になるくらいしかできないが、それでもお前たちを信じてやりきってやる。

必ず倒せよ、慎也、輝祈」


その言葉を合図に、再び戦闘態勢に戻り、羽津摩は綾瀬実栗へと距離を縮めた



彼女が光を放つ度に、羽津摩は当たる寸前で別の場所へ移動する


その間にも慎也と私は術と魔法を発動させ、彼女もまた、当たる寸前でひらりと交わす


そして時々こちらへも放たれる光を、私たちも同様に交わす



……それが何度か続いた


───が、その流れを壊したのは綾瀬実栗だった



「あなたの行動パターンは把握しました」


そう羽津摩に告げたかと思うと、次の瞬間には羽津摩の姿が消えていた



「羽津摩っ!」



こちらを向いた綾瀬実栗は、ふっと微笑を浮かべて言う



「次に移動する場所を目で確認していました。

それを把握できれば、当てることなど容易いことです」



そして彼女は、そのまま天へと舞い上がった



「ああ……こうすれば手っ取り早く済みましたね」


宙に浮いたまま、その両手を翳す


まさか……っ


そう思った時には、遅かった



彼女から放たれた光は、一瞬にして、全てを包み込んだ
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