全てが終わりを告げる時
人間が、完璧さを追い求めたがために完成したそのロボットは、

皮肉なことに、完璧さのために世界を破壊したのだ



赤子はおろか、もう誰一人として、その気配を感じることができない



「皆を返して……返せ……っ

……全てを、元に戻せえぇぇ!!」


叫んだその声は、全てが壊れた世界で木霊した



……それは、一瞬の出来事だった



数メートル先に立っていた、綾瀬実栗との間合いを詰め、彼女が避けるよりも早く、その鳩尾に〝力〟をぶつけた



私の魔力を直で食らった彼女は、宙へと飛ばされ、地面へと叩きつけられる



その衝撃で、彼女に取り付けられていた部品は、木っ端微塵に砕け散った



5cm四方の、彼女の心臓部が剥き出しになる



「これは……驚きました。

たった一人の人間に、私を破壊するほどの力があったとは。

貴方はいったい、今何をしたんですか」



どうやらそこに〝心〟があるようで、ゆっくりと近付けば、そう問われた



「……あなたの〝何でも〟は、本当に全てではない。


あなたに組み込まれているのは、科学者や哲学者、研究所の人間達の知識全て。

裏を返せば、その人間達の知識しか組み込まれていない。

彼らが、非科学的で、妄想だと信じていた能力や、それを持つ者たちのことは、知らなかったでしょう?

そんな人知を超えた、非科学的能力を持っていたのが、私たちだったのよ」
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