全てが終わりを告げる時
今は亡き三人の姿を思い浮かべる


慎也、柚希、そして羽津摩


個性的で、小さなことでの衝突もあったけれど、誰からともなくすぐに謝り、団結力は軍を上回っていた



「人知を超えた能力、ですか」


立方体の固まりは繰り返す



「───貴方はとてもお強い。

貴方と比べたら、私の力など、たかが知れているというのに。

私のこんな力で死んでしまうなんて、この世界に存在していた生物は、本当に弱いですね…」


「だからよ」


「え……?」



「生き物は弱いからこそ、儚いからこそ、その命を大切にするの。

あなたが奪っていい命なんて、一つも無かったのよ」


「……そうですね」



私の言葉に、エニスは小さく呟いた



「雛桜輝祈、最後に言わせて下さい」


エニスは言う


「私は、計画のためにも、人間の心を理解するため、

感受性豊かな子どもが集まる場所───学校へ通いました。

不思議なことに、周りの生徒の影響からか、すぐに感情を持つようになりました」


懐かしむような口調で、彼女は語る


「貴方に先程、生き物だと言われた時、私は嬉しかったのです。

私をそう呼んでくれたのは、貴方が初めてでしたから」



「……心を持っているならば、あなたもれっきとした生き物よ」



「ありがとうございます。

これでもう、心残りはありません」


それは、自身を破壊してくれと、意味していた


私はその〝心〟を、手の平の上で燃やした
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