全てが終わりを告げる時
「ほんと!? じゃあ行こ!」


未來のその声に、現実へ引き戻された


懐かしい記憶だ



ふと思った


私はあと、どれほど未來の声を聞けるだろうか


未來の傍に居られるだろうか、と


……駄目だ駄目だ


私が〝あれ〟である限り、出会いと別れは何度でも繰り返される


偶々、この地が平和で、長く居れているだけ


〝その地の物に、人に、執着してはならない〟と、〝あの人〟に言われたのだから


そこまで考えて、今までの考えを全て振り払った



「輝祈? 大丈夫?」


未來が心配そうな顔で、こちらを向いている


「うん、大丈夫」


「そう? なら良いけど、すっごく暗い顔してたよ?

何かあった時は、いつでも相談に乗るからね?」


「…………ありがとう」


すぐには言葉を返せなかった


〝あれ〟に関係する事は、絶対に普通の人間には、話してはならないのだから


「うん! じゃ、改めてレッツゴー!!」


未來の後ろをついて行った


軽く涙腺が緩んでいる事を、彼女に悟られないように
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