全てが終わりを告げる時
綾瀬実栗の周りには、彼女が来てから数日経つにも関わらず、人だかりがあった


「どうやったら話せるかな」と未來が呟いた


……と、その時丁度チャイムが鳴り


「やべぇ、俺達次体育だぜ!!」

「そうだった! やばっ、早く行こ!」


綾瀬実栗の周りにあった人だかりは、偶然か必然かは定かではないが、全員が同じ学級だったらしく


慌ただしく走り去って行った


こんなことも、あるものなのだな、と一人静かに感心した


私と未來はこの学級で、移動教室でもないため


授業が始まる寸前まで、話していても問題は無い


綾瀬実栗の周りに誰も居なくなった後


未來が拳に力を込めたのが見え、それと同時にごくり、と唾を呑む音が聞こえた


誰とでも明るく接せる未來だが、初対面の人間や初めて話す人間には、緊張するのだ


それは、中学校からの長い付き合いで理解している事


そして意を決して、口を開いた


「……み、みく、実栗ちゃん!!」


吃りながら、彼女の名前を呼んでしまった事に


〝失敗した……〟という未來の心の声が、聞こえた気がした
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