全てが終わりを告げる時
「……数日前、〝あれ〟を学校の敷地内で見つけたの」


〝あれ〟というのは、空に漂っていた黒い物体のことを示している


二人は、それが何を意味するか瞬時に理解し


「えっ!?」


「ここ数年間、何も無かったというのに、今更かい?」


柚希と慎也も動揺を隠せずに、そう問うてきた


私はそれに無言で頷き、更に言葉を続ける


「そしてその日、私の学級に一人の少女が転校してきたわ」


「...それは、ただ単に、偶然とかでは無いのかい?」


柚希も首がもげそうな程、何度も頷き、同意を示す


「いいえ、そんなはずは無いわ

だって彼女が……


私がここに来た理由なのだから」



「……そう。 ……じゃあ取り敢えず、その転校生について、容姿や性格、行動などを一通り、聞かせてほしい


もし気になることでもあるのなら、それも踏まえて」


冷静にそう言った慎也


しかしまだ、先程のことで動揺しているようだ


当の本人である慎也も、気付いていないのだろうが


机の上に置かれている彼の手が、先程から何をするでも無く、ただただ忙しなく動いているのだから



「...ええ。 なら大まかに説明するわね


転校生の名前は綾瀬実栗


漆黒の髪と瞳で、肌が雪のように白くて、整った顔立ちをしていて...世間一般で言う、〝美少女〟というものなのかしら


休み時間の度に彼女の周りに人だかりができて、色々な質問をされているけれど


出身地や前の学校について聞くと『遠く』としか答えず、その後、問い続けてもただ微笑むだけ」
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