全てが終わりを告げる時
慎也がその言葉を口にした瞬間、目の前の二人の顔が瞬時に強ばった


私も彼らと同様に強ばっているに違いない



エ二ス(Anyth)


anything──《何でも》という意味の、この英単語から名前を取ったそのロボットは


その名の通り、何でもする事が可能なのだ


例として幾つか挙げるとするならば


どんなものにでも姿を変えることができ、声色さえも自由自在に操り


また、ファンタジー要素を踏まえたものでは、空を飛ぶこともできる


いわば、世界最強の存在と言えるのだ



そしてエ二スは、人工知能を持つ


それこそ、某名門大学の受験を、満点で合格できるほどの頭脳を。 それを巧みに駆使できる知能を


...つまり、もし人間に反逆を図ったならば


人類は……いや、この世界は、例外など無く、確実に滅ぼされてしまうだろう



しかし、人間の手によって作られた恩が、あるためなのか何なのか、今までどんな要望も受け入れ、文句も言わずに遂行してきた



そう、〝今まで〟は……



これから綴られる話は


この不思議な家の地下で、未だに顔を強ばらせている私たち三人と、この組織に関わっている人間


そして、エ二スを作り出した研究所の人間しか知らない、この世界の絶望的な現状である
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