全てが終わりを告げる時
そして起きてしまった悲劇


何の罪も無い人間──警備員二人の死


〝何でもできる〟というのを実現させようとしたがために起きた事故


己の愚かさを悔やんだところで、時すでに遅し


どうする事もできない研究所の人間達は頭を抱えた


二つの命を奪った元凶だという事実に、苦しめられた


せめてもの罪滅ぼしに、苦しみから逃れるために、などという理由で、自殺を図った者も少なくはなかった


だがそれは、周りの人間達によって阻止された


更にこの世界から命が失われたところで、何の償いにもならず


尚且(ナオカツ)、そんな事をすれば、人類を滅亡させる、というエ二スの望みの手助けをしてしまうだけなのだ


失われて良い命など、この世界には一つも無いのだ


病人の治療をいち早く行い、少しでも多くの命を守ろうと、医療関係の人間達も忙しなく動き回っている


病人だけではない


これからの未来を担う若き人間達の死など、何よりも恐れられている


小学校、中学校、高校、更には大学で、〝いじめ〟なんてもののせいで命が失われる事を、何が何でも避けるため


世界中の職員達には、「いじめがある場合には何が何でも止めさせ、更に絶対にいじめを起こさせず、一人の命も失わせるな」という絶対命令が下された
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