全てが終わりを告げる時
……そして現在、この組織に所属しているのは
、僅か三人


そう……私と慎也と柚希だけ



嘗(カツ)ては、世界人口の約五分の一が、特殊能力を持つ人間だった、と云われている


それも、世界各地に分布しており、各国に一人は必ず居たそうだ


しかし、〝あの事件〟によって、急激に少なくなってしまった



──〝あの事件〟


それは決して拭えぬ歴史と記憶



それは…………〝魔女狩り〟



中世末期頃に、ヨーロッパから始まり、大陸を渡ってアメリカへと広がり、最終的には世界中へとその規模は拡大していった



魔女狩りが始まってしまった原因は、中世の異端審問官達が、異端運動の衰退後の新しい職場探しの末につくりあげた、単なる嘘のようなものだったそうだ



ある人間を憎み、恨む人間が、異端審問官に「あれは魔女だ」と密告し、

異端審問官──元(モト)い、魔女狩りを行う教会の人間達は、密告された人間を拷問にかけ、処刑する


魔女として逮捕された人間は、処刑の前に全財産を没収されることになっており、

教会側はこの没収した財産を、魔女狩りの経費や、自らの給料に当てていた



当時は社会的にも不安定な時代で、魔女という名の付いた他人を、不安を解消するための攻撃対象とし、

異端運動が衰退したことにより積もりに積もった鬱憤晴らしの標的とした


更には金の出処としていたため、教会の人間達にとっては、まさに一石二鳥...否、三鳥だった
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