全てが終わりを告げる時
……しかしそんな、教会の人間達にとって夢のような話だった魔女狩りにも、〝滅び〟の時はやってくる


魔女狩りが衰退し始めたのだ


何の罪も無い人間達が、恐怖から解放される時が、遂に、やってきたのだ


教会の人間達にバレないように、影で多くの人間達が歓喜の声をあげた───



……が、しかし


まるでショーのフィナーレかのように、全世界を揺るがす最大の事件が起きた



〝最期の魔女狩り〟


世界を変えた一つの歴史として、今でも学習の過程で必ず一度は習う



しかし、これが起きたのは近代初期頃のため、これを経験した者は、誰一人として存在しない



ただ一人…………私を除いて





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あれは、私が10歳を迎えたばかりの頃だった───



私の家は、小さな診療所だった


お父様とお母様の二人で営んでおり、〝小さな〟と言っても、誰もがその存在を知っていた



何故なら人間達から、〝どんな病も治す診療所〟と、うたわれていたからである


たとえ、死を待つしかないと他の病院や診療所で診断を受けたとしても、お父様とお母様はすぐにその病を治してしまうのだ


それも、ものの数分、患者を眠らせるだけで


そのため人間達は、この治療法を〝睡眠治療〟と呼んでいる
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