全てが終わりを告げる時
…………


三人の中に、暫しの沈黙が訪れた


張りつめた空気がピリピリと肌を刺す



どれほどの間があっただろうか


『……顔を上げなさい』



沈黙を破ったのは、お父様だった


お父様のその言葉に、恐る恐る顔を上げる


すると



『…………え……?』


思わずそんな声が零れた


何故ならお父様の形相が、先程と打って変わって、喜びに満ち溢れているようだったから



『すごいじゃないか輝祈!


流石、私たちの娘だ!』


そう言って、大きな手で頭を撫でてくれるお父様に、頭が混乱して言葉を返す事ができない


すると、今まで黙って聞いていたお母様が、徐に口を開いた


『えぇ、本当にすごいわよ


……でもね、輝祈。 それを普通の人間に見せてはいけないことは分かっているだろうけれど……』


一度間を置いて、再び言葉を紡ぐ


『これからは誰にも───お父様やお母様にも見せないようにして』


『っ!? ……どう、して……?』


そんな事を言うなんて、お父様とお母様は、私を嫌いになってしまったのだろうか?


耳障りで、目障りなだけだから、もう話しかけないでほしいのだろうか?



目頭がじんわり、と熱くなり、涙が出そうだと分かった私は


泣いてこれ以上お父様とお母様に迷惑をかけないように、零れ落ちるのを防ごうと咄嗟に顔を顰めた
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