全てが終わりを告げる時
そんな私の様子を見たお母様は、私が何を考えているのか瞬時に悟ったようで


慌てた様子で私に駆け寄り、その腕で私を強く抱きしめた


『あなたの事を嫌いなわけじゃないのよ……?


あなたを嫌いになるなんて有り得ないわ


魔法を見せてくれるのも迷惑だなんて思ってない


どうか、それだけは分かってちょうだい……』



苦しそうに、辛そうに言葉を吐き出すお母様に、その言葉達が嘘だとは到底思えなくて


私は腕の中で、大きく頷いた



『……でも、それならどうして……?』


私は小さな声でそう問いかける


するとお母様は、私の目をじっと見つめ、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した



『今、この世界がどのような状況か、分かっているわよね?』



『……うん。 今、この世界は…………


各地で魔女狩りが行われている』


私の答えを聞いたお母様はこくり、と頷き、そして静かに語り始めた



『魔女の疑いをかけられた人間は、拷問を受けながら、仲間がいないかという問いを投げかけられる

その人間がそこで口にした名の人間は、同じように拷問を受け、質問をされ、そして最後には……処刑される

自分が処されることに不満を持つ人間たちは、自分のまわりの人間の名を次々と挙げていくわ


それはその地を巻き込み、近隣の地を巻き込み、多くの被害を及ぼす

つまり、負の連鎖が続いていくの


……つい先日、この村の一人が魔女狩りの対象になったわ


平和だったこの村にも、もうじき終わりが訪れる』
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