全てが終わりを告げる時
『え?』

『あなたっ、本人に未来を教えることは、禁じられているでしょう!?』


私の驚きの声に、お母様のその言葉が被せられた


禁じられている……?


それなら何故、私に話そうとしているの?


規則も約束も、決して破らないお父様が……



『ああ。 破った者は重い罰を課せられる。

だが……

それを禁じていた者も、もういないだろう?』


迫り来る運命と、魔法使いとして生きてきた境遇への、最後の足掻き


息を呑むお母様にそっと肩を貸すと、お父様は私に未来を語った



『全てを話すことは、お前の未来をも揺るがせてしまうため、それはできないが……


お前は近い未来で、大切な仲間を手に入れる。

そしていつか、仲間とともに、最強の敵と、その力を交えることになる。

決して臆するな。 最後まで立ち向かえ。

そして運命に───抗え』



〝運命に抗え〟


それが何を意味するのかは分からなかったが、私は大きく頷いた


顔を上げたお母様が私を見つめる


その瞳は涙に濡れ、酷く苦しげだった



お母様が何かを話そうと、口を開いたその時


───ドンドンドンッ!


まるで全ての終わりを告げるように、荒々しげに診療所のドアが叩かれた
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