全てが終わりを告げる時
『こんな目に遭ってしまったけれど、どうか、人間を嫌いにならないでちょうだい。
皆、魔女狩りによって、誤った娯楽に取り込まれてしまっただけ。
本当は愛と優しさに溢れているのよ。
……人間は道を踏み外してしまいがちなの。
何が正義か分からなくなって、結果、他人を傷付けてしまう。
だからもし、あなたがそんな人間に出会ったら、救ってあげて』
それはまるで、お母様からの遺言のよう───否、本当に遺言なのだ
そう思った途端、目頭が熱くなるのを感じた
けれど、まだ、泣いてはいけない
最後は……涙で霞む視界など、絶対に嫌だ
『……っ……はいっ……!』
指輪を握りしめると、私は外へ飛び出した
もうお父様とお母様は呼び止めなかった
私も、振り返らなかった───
表の通りへ出た私の目の前には、悲惨な光景が広がっていた
『……っ!?』
教会の人間達に抵抗したのか、その形跡が至るところに見られる
殆どの家の窓ガラスが割られ、光を放ちながら地面に散らばっている破片
〝何か〟が引き摺られたために削れている地面
蹴破られたのか、金具が破壊され傾いているドア
そして、家から引き摺り出されても尚、抵抗を続けた痕跡
幾つかの家の壁に飛び散っている───血飛沫
昨日までの、私が好きだった町並みは。 何もかもが澄んでいた村は、もうそこには存在しなかった
皆、魔女狩りによって、誤った娯楽に取り込まれてしまっただけ。
本当は愛と優しさに溢れているのよ。
……人間は道を踏み外してしまいがちなの。
何が正義か分からなくなって、結果、他人を傷付けてしまう。
だからもし、あなたがそんな人間に出会ったら、救ってあげて』
それはまるで、お母様からの遺言のよう───否、本当に遺言なのだ
そう思った途端、目頭が熱くなるのを感じた
けれど、まだ、泣いてはいけない
最後は……涙で霞む視界など、絶対に嫌だ
『……っ……はいっ……!』
指輪を握りしめると、私は外へ飛び出した
もうお父様とお母様は呼び止めなかった
私も、振り返らなかった───
表の通りへ出た私の目の前には、悲惨な光景が広がっていた
『……っ!?』
教会の人間達に抵抗したのか、その形跡が至るところに見られる
殆どの家の窓ガラスが割られ、光を放ちながら地面に散らばっている破片
〝何か〟が引き摺られたために削れている地面
蹴破られたのか、金具が破壊され傾いているドア
そして、家から引き摺り出されても尚、抵抗を続けた痕跡
幾つかの家の壁に飛び散っている───血飛沫
昨日までの、私が好きだった町並みは。 何もかもが澄んでいた村は、もうそこには存在しなかった