全てが終わりを告げる時
それは広場で、盛大に行われようとしていた



───数分間、音の流れてきた方向へと、無我夢中で走り続けた


途中、足がもつれて転び、落ちていたガラス片で足首を切った


しかし、いくら鮮血が流れようとも、痛みなどは全く気にならず、

ただひたすらに。 この場所に来ることだけを思い、一心不乱に走り続けたのだった



広場には溢れかえるほどの群衆が集まっており、皆(ミナ)嬉々として、最悪で最大な娯楽ショーが始まるのを、今か今かと待ち侘びていた


群衆の見つめる先である広場の中央には、周囲より数十センチほど高い壇が設けられていた


〝魔女狩り〟という名のショーが行われる、舞台(ステ-ジ)が───



壇上には、木製の太い柱が数十本も立っている


火あぶりのためのものだろう


そして、壇上に一人の男が登った


群衆を見回した後、男は叫ぶ


『これより、多くの人間に不幸をもたらした魔女達の、処刑を行う!!』


群衆から歓声があがる


これから目の前で人間が殺されるというのに、誰もが笑顔で、興奮していて


『っ、狂っている……!』


狂気に満ちたその姿は、狂信主義の現状を突き付けられるには十分なものだった



手を拘束され、目隠しをされている人間たちが、次々と壇上へ登らされていく


今日この場で処刑される受刑者たちだ
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