全てが終わりを告げる時
いかにも屈強そうな男達が後に続き、手の拘束を外し、用意されていた柱に受刑者を縛り付けると、最後に目隠しを外した


受刑者たちは目を開け、周囲を見回すと、その多くは青ざめた顔でカタカタと震えだした


『私は無実だ!だから助けてくれ!!』


縛り付けられても尚、無実の主張をする者もいた


しかし群衆は彼の言葉を聞くと


『この期に及んで見苦しいぞ!』

『そうだ! 早く死んでしまえ!』


そう暴言を吐くことしかしなかった


それも、愉快そうな表情で


〝自分が殺されなければ何でも構わない〟


群衆達の心が、そう言っているように聞こえた



そして受刑者の中には、先程連れ去られたお父様とお母様もいた


『お父様っ! お母様っ!!』


私の声が届いたのか、一度、目を開けた二人は私の姿を目で捉え、そして───笑った


悲しそうに、苦しそうに、笑った



再び目を閉じた二人は、その終わりが来ることを、静かに待っているようだった


そんな二人を見て、私も声をかけることはしなかった



涙が再び頬を伝い出す


どうして、お父様とお母様がこんな目に遭わなければならないのか


人間のために〝力〟を使ってきたというのに、その人間達に殺されなければならないのか


そんな苦しさと、悔しさが滲んでいる、涙だった
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