全てが終わりを告げる時
罵られても、怒りや悲しみ、そして狂った反応すら示さないお父様とお母様


男はそれが気に食わなかったようだ


『……ふんっ、つまらない奴らだ

まあいい。 処刑を開始しよう』



屈強な男達に指示を出すと、男は壇上の端の方へ掃けた


『皆のもの、篤と見るがいい!

我々を騙していた魔女どもの死にゆく姿を!!』


またも湧き上がった群衆は、より一層心躍らせ、壇上を見つめた



誰もが息を呑み、広場は静寂に包まれた


屈強な男達は、メラメラと燃え盛り、揺らめく炎の灯った松明を持つと、受刑者へと歩み寄った



『……あーあ、俺もあの役に任命されたかったなぁ』


ぽつり、と


近くにいた一人の痩せ型の男が呟いた


『そんなのオレだって、他の奴らだってそうだよ

諦めて、火がつけられるのを静かに見てようぜ』


その隣にいた小柄な男がそう諭し、再び広場は静まり返った



〝あの役〟とは、松明を手にしている男達のことを指している


受刑者の下へ置かれた薪の下へ、種火である松明を差し込み、火をつける───そんな、残酷な仕事


しかし、人々にとって、その仕事は大層名誉ある役とされていた


そのため、群衆の中でも、ほとんどの人間は、娯楽という楽しみに胸弾ませ、羨望の眼差しで揺れる炎を見つめていた
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