全てが終わりを告げる時
「あ……ううん、何でもない

皆ごめん、驚かせて」


苦笑いをしてそう言うと


数秒の後、皆、何事も無かったかのように、元の状態へ戻った


「大丈夫? 輝祈」


未來が心配そうに、顔を覗き込んでくる


「うん、本当に何でもないから」


〝何ともない〟という表情を浮かべて、平然を装う私に


未来はまだ何か言いたそうだったが


丁度その時、チャイムが鳴り、渋々といった感じで、自分の席へと戻っていった




……先程見えた、黒い物


あれは、この世界で何かが起こる時に、必ず発生するもの


それが良いことか、悪いことかは判断できないが


陰陽師や占い師などの、特別な力を持つ人々は


昔からそれを見て、災害などに備えることが多かった


あれは、特別な力を持つ者にしか、見る事ができず


今、ここで私が『あれが見える』と大声で叫び、指を指したところで


この教室の人間は、誰一人として、あれが見えないため


ただの変な奴か、中二病としか思われない


そうなると、今後のこの学校での生活が気まずくなり、行動もしにくくなるため


周りに教えては、絶対にならないのだ



あの黒い物が見えたのは、学校の敷地内


つまりは、この学校で何かが起こるという事


細心の注意を払わなければ
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