全てが終わりを告げる時
お父様とお母様が成し遂げてきた、治療の痕跡は───〝奇跡〟へと、塗り替えられていた



魔女狩りは終わった


お父様とお母様の、〝誰からも忘れ去られる〟という、残酷な死と引き換えに……



物陰で再びローブを羽織ると、今にも零れ落ちそうな涙を堪えて、私は走った


消えてしまったお父様とお母様が、存在していたという証を求めに


私が生まれる何年も前から、二人が暮らし続けてきた、あの家へ───




足を止めたその場所で、私は愕然とした


つい先程まで存在していたはずの我が家が、消えていた


目をこすり、再び目を開けるの繰り返し


何度も行ったせいで表れた痛みに耐えながら、もう何度目かも分からずに目を開けてみても、やはり、目の前の光景は変わらなかった



近隣の家々は、全く変わっていない


私が駆け抜けてきた時と変わらず、荒れ果てた状態だ


けれど、我が家だけが消えている


初めから存在していなかったかのように、その隙間は狭められ、路地となり、跡形も無く、残骸も無く───



それから私は、嘗て我が家が存在していたはずの路地へ入り込み、その場へ膝から崩れ落ちた


止めどなく溢れる涙を、拭うこともせずに


ただひたすらに、体を丸めて、泣き続けた



残虐な人間。 残忍な魔女狩り

それは、眩しいほどの光とともに

静かに、静かに───終わりを告げた





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