全てが終わりを告げる時
「輝祈には引き続き、あの学校での調査をお願いするよ

綾瀬実栗を呼び出し、自主退学をした生徒があまりにも増え、学校が警察へ捜査を依頼した場合

又は、綾瀬実栗自身が、何か大きな動きを見せた場合には、接触を図ってもらいたい」


「……分かったわ」


ギュッと両手を握り締め、下唇を噛む


すぐに動けないことに、もどかしさと悔しさを感じながら


「……輝祈の思っていることも分かるよ

でも、知っての通り、僕達は正式な要請をもらってからじゃないと、捜査に踏み入ることはできない」


「僕らの存在を知っている、警視総監直々のお願いを貰ってからじゃないと、ね」


慎也の言葉に、柚希がそう付け足した



この組織を知る、数少ない人間のうちの一人である警視総監は、その地位に相応しく、威厳に満ち溢れている


だが、それと同時に、深い優しさをも兼ね備えている


家族へ向ける愛情と、同等と言っても過言ではないほどの優しさを、誰に対しても持っている……そんな、人だ



故に彼は、自身が許可を下してからでないと、この組織の出動を決して許さない


必要最低限、必要最小限、この組織の存在が、人々に広まらないようにするために


私達を、守るために───



「柚希は僕と、輝祈の学校の周囲の、見回りを兼ねた聞き込みをしよう」


「うん、分かった」


「輝祈の近くにいられるんだね」そう続けた柚希はとても嬉しそうで、私も嬉しくなった
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