全てが終わりを告げる時
そう思っていると、ガラッと教室の前扉が開き


HRを始めるために、担任教師が入ってきた


「起立、礼」


日直が号令をかけ、HRが始まる


「えー、突然だが、今日は転校生を紹介する」


後頭部が薄くなりつつある、少し年配の担任教師が、物語などで定番の、その言葉を発した途端


「まじで!?」

「よっしゃー!!」

「やったー!!」


教室内が一気に、騒がしくなった


何人かは席を立ち、教室中を走り回っている


あまりの五月蝿さに、声を発しない静かな部類の人間達は、耳を塞いだ


無論、私も、その一部である


「静かにしないか!! 早く席へ戻れ!!」


担任教師が、青筋を立てながらそう叫ぶと


教室内はしん、と静まり返り、走っていた生徒達も、渋々といった顔をして席に着いた


それを確認した担任教師は、一度、咳払いをした後


「綾瀬、入ってこい」


扉を挟んで、廊下に居るのであろう転校生にも聞こえるように


少し大きめの声でそう告げる


再び教室の前扉がガラッと開き、転入生と思われる人物が入ってきた


先程、教室中を走り回っていた男子生徒が、隣の生徒に、「よっしゃ、女子だぜ!」と耳打ちしている声が聞こえた
< 6 / 133 >

この作品をシェア

pagetop