全てが終わりを告げる時
広々とした家の中


二人でテーブルを挟んで向かい合い、椅子に腰かける


テーブルに置かれた紅茶に一度口を付けると、男───王寺暁人は徐に口を開いた


「君の話は二人からよく聞かされていたよ

確か……輝祈、だったかな?」


「うん……はい」


何か大事な話だと悟り、姿勢を正し、口調を改めた


「僕の家系である王寺家と、輝祈の家系である雛桜家は、僕が生まれるよりもずっと前から、とある仕事で繋がっているんだよ」


「とある……仕事?」


「言うなればそれは……

『特殊な力を持つ者にしかできない仕事』かな」


優しげな微笑を浮かべながら、王寺暁人は続ける


「陰陽師、というものを輝祈は知っているかい?

妖怪退治であったり、占いであったり、呪術であったり……

様々な術───陰陽術によって、人に幸せをもたらし、時には不幸をもたらす

そんな術者のことを、人はそう呼ぶんだよ」


陰陽師……


頭の中で反芻する


「そして、魔法使いである雛桜家と、陰陽師である王寺家は、人々を危機から救うための組織を作り上げた

両家の者は、先代が亡くなると、自身が当主となり、この組織へ加入することになっている」


そこで、一つの疑問が浮かんだ私は、口を開く


しかし、私が言葉を発する前に、王寺暁人はその疑問に答えた


「先代が長生きをしたら、次期当主が加入するのは年老いてからになるのでは?

そう思っただろう

でも、そんな心配は無用なんだよ

何故なら、この仕事をしている限り、そう長くは生きられない運命だから」
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