全てが終わりを告げる時
雛桜家……否、魔法使いの家系は、代々、魔法使い同士がつがいとなり、子孫を繁栄させてきた


何故ならば、それが血を薄めないための、魔法使いの掟であったからだ


中には掟を破る一部の例外───即ち、魔法使い以外とつがいになる者も存在したが、

その魔法使いがつがいとなった時、代償として魔力を失った


魔法使いが私一人となってしまった今


もし仮に、私が誰かと結ばれたとしても、言うまでもなく、相手は魔法使いではない


誕生した子どもも、また魔力を持たない人間と結ばれ、間に誕生する子どもの魔力も、薄れたものとなる


時が経つにつれて、世代が移り変わるにつれて、次第に魔力は薄れていき、そしていつか───途絶える


つまり、私が死んでしまえば、純血の魔法使いは完全消滅する


後にせよ、先にせよ、この仕事を請け負う者は存在しなくなるのだ


そう分かってはいたが、両親の代で家業を途切れさせるのは


先祖代々、雛桜家が請け負ってきた、死と隣り合わせの───言うなれば、死へと自ら突き進むような仕事から逃避するのは


何もすることなく、二人の存在しない世界を生きるのは、想像しただけでも己自身を許せなく、耐えられなかった



きっと、王寺暁人もそれを分かっていた


分かっていたからこそ、私に最後の選択を迫ったのだろう


最終的な結末は変わらないが、継ぐにせよ、継がないにせよ、後悔の残らないように、と
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