全てが終わりを告げる時
敬語でないのなら、どのような言葉遣いが良いのだろうか


今までどおりの、何の装飾も無い言葉遣いでは、流石に愛想がなく、失礼に値するだろう


かと言って、子どもの一般的な喋り方など、力のコントロールに時間がかかったために、人間との接触を極力避けてきた私には、分からない


それならば、どうすれば……



そう考えた時、脳裏に蘇ったものは、つい数時間前の、あの悪夢のような出来事


私を、人間達を、世界を守るために、命を落としたお父様とお母様


そして、それと同時に脳裏を過ぎったものは、私のために自身を犠牲にする人が、これ以上現れないでほしい、という〝願い〟



「……ええ。 分かったわ、アキ」


気が付けば、そう口にしていた


所詮、母親の真似だろうと、思われるかもしれない


数年経ってから思えば、10歳の子どもがそんな言葉遣いをして、ませているとしか、思われなかったかもしれない


けれど、それでも構わない


周りにどう思われていようと、私自身の〝願い〟は、気持ちは───変わらないのだから



それからは、殆ど毎日、仕事を続けてきた


主な仕事は、妖怪や魔物などの〝邪〟を祓うこと


祓う側が減少してしまっても、魔女狩りの被害を受けなかった邪が減少することは、ないのだから
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