全てが終わりを告げる時
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「───ハッ……」


勢いよく起き上がれば、見えた窓の外は、夜明けにはまだ早く、深い闇が広がっている


「っ、はあっ……はあっ……」


乱れた呼吸を整えるために、何度も深呼吸を繰り返した



今のは……夢、か


長い歳月の中で、今のと同じ夢を、何度見てきただろうか


そして、私はこの夢を、いつになったら見なくなるのだろうか


そう思いながら。 漸く落ち着いた呼吸を確認しながら


首にかかるネックレスに通された、二つのマリッジリングを、ぎゅっと右手で握りしめた


途端、色違いの二つの指輪が、静かに淡く、光を放ち始める



この悪夢を見た後や、人間の死を目の当たりにした後など


私が負の感情に飲まれている時、この指輪はいつであろうと、淡い光を放つのだ


お父様とお母様の術が、かけられているのか


或いは、指輪本体が自我を持ったのか


はたまた、お父様とお母様の心が、そこに宿っているのか


真相は定かではないが、放たれる光は温かく、優しく───安心感を与えてくれるのだ


いつしか、負の感情に飲まれた時に握りしめることが、癖になるほどに



夢で見たように、王寺家以外の陰陽師の家系は徐々に途絶えていき、残っているのは慎也ただ一人


他の能力者も消滅してしまった現在、〝力〟を交えるその時は、慎也が生きている間に訪れるだろう



対決は、もうまもなく始まろうとしている───
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