全てが終わりを告げる時
能力の覚醒
明くる日の放課後
慎也と柚希のいるあの家へ向かえば、路地の前に黒い人影が一つあった
誰だろうか
そう思い目を凝らせば、相手が制服を着用していることが分かった
キャメルのブレザーに、グレーベースで紺のチェック柄のズボンを履いている
私の通う高校の、男子生徒だった
周りの建造物から考えて、身長は185cmといったところか
相手を確認すべく、近付いていく
すると、私に気が付いたのか、男子生徒がこちらへ顔を向けた
その顔は、集会や行事など、全校生徒が集まる場で、ことあるごとに見る、見慣れた顔
倉渕羽津摩───あの学校の、生徒会長だった
「……おや? 君は確か……雛桜、だったか?」
目の前まで歩み寄った私に、倉渕羽津摩が問いかけてくる
「はい、そうです。 倉ぶ……」
こほん、一つ咳払いをしてから言い直す
「……生徒会長は、こちらで何をなさっているんですか?」
流石に、仮にも生徒会長と一般生徒、先輩と後輩という設定なのだから、呼び捨ては避けた方が良いと判断した
「ああ。 実は……
自分でも、どうしてここへ来たのか分からないんだ。
馬鹿なことをと思うかもしれないが、まるで何かに操られるように、導かれるように歩いて……
気が付けば、ここにいたんだ」
困り顔の生徒会長は、「勘違いか?」と頭を掻きながら首を傾げた
慎也と柚希のいるあの家へ向かえば、路地の前に黒い人影が一つあった
誰だろうか
そう思い目を凝らせば、相手が制服を着用していることが分かった
キャメルのブレザーに、グレーベースで紺のチェック柄のズボンを履いている
私の通う高校の、男子生徒だった
周りの建造物から考えて、身長は185cmといったところか
相手を確認すべく、近付いていく
すると、私に気が付いたのか、男子生徒がこちらへ顔を向けた
その顔は、集会や行事など、全校生徒が集まる場で、ことあるごとに見る、見慣れた顔
倉渕羽津摩───あの学校の、生徒会長だった
「……おや? 君は確か……雛桜、だったか?」
目の前まで歩み寄った私に、倉渕羽津摩が問いかけてくる
「はい、そうです。 倉ぶ……」
こほん、一つ咳払いをしてから言い直す
「……生徒会長は、こちらで何をなさっているんですか?」
流石に、仮にも生徒会長と一般生徒、先輩と後輩という設定なのだから、呼び捨ては避けた方が良いと判断した
「ああ。 実は……
自分でも、どうしてここへ来たのか分からないんだ。
馬鹿なことをと思うかもしれないが、まるで何かに操られるように、導かれるように歩いて……
気が付けば、ここにいたんだ」
困り顔の生徒会長は、「勘違いか?」と頭を掻きながら首を傾げた