全てが終わりを告げる時
導かれた、か……


もしかしたら、彼は……



一つの仮説が浮かんだ私は、にこやかな笑みを貼り付けながら、彼に告げた



「生徒会長のそれは、あながち勘違いではないかもしれません」


「……え?」


「確認したいことがあります。

もし真相を知りたいのでしたら、少々お時間をお取りしますが、ついてきていただけますか?」


私の言葉に、倉渕羽津摩は迷うことなく頷いた



答えを言うのではなく、続きを知りたいと思わせる


人間が解明した、人間の心理


ツァイガルニク効果を利用した───


〝確認〟という名の、〝誘導〟である





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コツッ コツリ……コツッ コツリ……


二人の靴音を響かせながら路地を進む



この路地には実は、とある細工をしてある


もし、一般の人間がこの路地へ入り込んでも、決してあの家へは辿り着けぬよう、術をかけたのだ


〝力〟を持つ者と持たない者とを区別し、持たない者は路地の途中で、催眠術に似た術にかかり、来た道を引き返す


路地を抜けた人間は、無論、路地の中での記憶を消され、それからというもの、無意識のうちに、この路地を避けるようになるのだ



たまに来る水道会社や電気会社の人間に関しては、慎也が一時的に術の上塗りを施している
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