全てが終わりを告げる時
瞬間移動と、短時間での記憶……



「記憶力の方は、おそらく瞬間記憶能力ね」


「うんっ、僕もそう思う。

どっちも瞬間的な〝力〟だね」


私の言葉に、柚希が付け足した


「……うん、面白い」


そう呟いた慎也は、悪戯を思いついた子どものように、ニヤリと片方の口角を上げた


「この部屋は、テーブルを動かせば十分な広さを確保できるし、強度も防音対策も完璧だ。

……折角だからその〝力〟───見せておくれよ」



部屋の真ん中に設けられていたテーブルを端へ寄せ、四人が向かい合うようにして立つ


そして、それぞれの手には色鮮やかな……


「ただ見るだけでは、つまらないからね。

ゲーム形式にしてみたよ」


色鮮やかな───細長い風船(ツイストバル-ン)が握られていた



「ルールは簡単。

倉渕会長には、これから1分以内に、僕ら三人の風船を割ってもらうよ。

勿論、能力の使用は可……というか、それが目的だから、使ってもらわなきゃ困るね。


僕ら三人は、風船を割られないように逃げ続ける。

こっちは、〝力〟を使うと会長が可哀想だからね、〝力〟の使用は一切認めない。

とまあ、こんな感じだけど、何か質問はあるかい?」


慎也の問いに、三人で首を横に振る


「それじゃあ───ゲームスタート!」
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