全てが終わりを告げる時
「ざ〜んねん♪ 1分経っちゃったね?」


「ええ。 私も慎也も、風船は割られずじまいだったわね」


柚希と顔を見合わせて笑う


…………


ふと気付く



先程、タイマーの大音声は、確かに鳴り響いた


しかし、熱中し過ぎて周囲の音が聞こえていないのか、二人は今も尚、目の前でゲームを繰り広げているのだ


それも、キラキラとした笑顔で



「二人とも、もう時間よ」


声をかけても、二人からの返答はない


「いい加減、やめてくれないかしら」


少し大きめな声を出しても、やはり、止める気配は無い


「……そう」


怒りが沸々と沸き上がる


それと反比例するように、私の周辺の空気が冷気へと変化した



「うぅ……寒っ」


隣へ移動していた柚希が身震いする


「き、輝祈……?」


「………………」


柚希の問いかけには答えず、私は無言のまま



パアァァン!!


「っ!?」

「おわっ!?」


目の前で踊る、色鮮やかな二つの風船を破裂させた



「いって……何が起きたんだ?」


「ああ……どうやら輝祈がご立腹のようだね」


痛そうに顔を歪め、風船を握っていた方の手を、二人揃って押さえ、蹲っている



私はそんな彼らに近付き、見下ろしながら言葉を投げかける


「いつまで遊んでいるつもりなの。

もう、とっくに1分経っているわよ?

さあ立って。 テーブルを戻しましょう」
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